ゼップバウンドを使えない人と、使う前に医師に伝える人

ちんあなご編集部|内容の確認日 2026年11月2日

要点
  • 電子添文の「禁忌」(使えない人)は3つです。成分への過敏症の経験がある人、糖尿病性ケトアシドーシスなどの人と1型糖尿病の人、そして2型糖尿病があって重い感染症や手術などの緊急の場合です。
  • 妊婦や、妊娠している可能性のある人には使いません。これは禁忌の欄ではなく、「特定の背景を有する患者」の欄に書かれています。
  • 禁忌ではなくても、使う前に医師か薬剤師に伝えるよう求められている人がいます。膵炎になったことがある人、おなかの手術やイレウスの経験がある人、低血糖のおそれがある人などです。
  • 自分が当てはまるかは、このページでは決められません。受診のときに、病気・手術・飲んでいる薬・飲酒の量を伝えてください。

禁忌(使えない人)の3つ

電子添文の「2. 禁忌」に書かれている3項目です。右の列は、患者向けの資料での言い方をかみくだいたものです。

項目電子添文の言い方患者向けの資料での説明
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者この薬の成分で、過去にアレルギー症状(過敏症)が出た人
2.2糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者吐き気、甘酸っぱいにおいの息、深く大きい呼吸が出る状態の人。糖尿病で昏睡状態、またはなりそうな人。1型糖尿病の人
2.32型糖尿病を有する患者における重症感染症、手術等の緊急の場合2型糖尿病があり、重い感染症にかかっている人、または手術などの緊急の場合

2.3は、書き方が「2型糖尿病を有する患者における」と限られています。糖尿病のない肥満症の人についてこの項目がどう働くかは、電子添文に書かれていません。手術の予定がある人は、次の節の「全身麻酔」と、副作用のページの手術の節もあわせて読んでください。

禁忌ではないが、使う前に伝える人

患者向医薬品ガイドは、「次の人は、特に注意が必要です。使い始める前に医師または薬剤師に告げてください」として、下の人を挙げています。右の列は、電子添文の「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」の項目番号です。

該当する人電子添文の項目原文でわかること
重症胃不全麻痺など、重度の胃腸障害のある人9.1.1特定の背景を有する患者として挙げられています
膵炎(すいえん)にかかったことがある人9.1.2急性膵炎が出たときは、使用を中止します。膵炎と診断された場合は、もう一度は使いません(11.1)
低血糖をおこすおそれがある人9.1.34つの状態が挙げられています。くわしくは低血糖のページに表にしました
増殖糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、急性期の治療が必要な非増殖糖尿病網膜症の人、またはそれらの既往のある人9.1.4急激な血糖コントロールの改善にともなって、網膜症が目に見える形になったり悪化したりすることがあります(8.13)。視力が落ちる、視野が狭くなる、といった症状は、すぐ医師に伝えます
おなかの手術を受けたことがある人、イレウス(腸閉塞を含む)になったことがある人9.1.52025年7月30日の改訂の指示で加わった項目です
全身麻酔や、深い鎮静を受ける人9.1.6手術前の絶食を守っていたのに、全身麻酔や深い鎮静の最中に誤嚥が起きた例が報告されています。胃の中身が残りやすくなるおそれがあります
妊婦、または妊娠している可能性のある人9.5使いません。くわしくは妊娠・授乳・避妊のページで
授乳している人9.6続けるかどうかを、医師と考えます

表の「原文でわかること」の列は、原文に書かれている範囲だけを書きました。「この条件の人は何日以内はだめ」といった日数や基準は、電子添文のこれらの項目にはありません。

甲状腺のしこりと、家族の病歴

電子添文は、使っている間に甲状腺に関する症状(首に触れると硬いしこりがあるなど)が出たら、使った医師に相談し、専門医を受診するよう求めています(8.6)。

理由として、ラットの2年間の試験で、すべての量で甲状腺C細胞の腫瘍(腺腫と癌)が増えたことが、電子添文の「非臨床試験に基づく情報」(15.2)に書かれています。マウスの6か月間の試験では、甲状腺C細胞の増加や腫瘍は見られませんでした。

また、甲状腺髄様癌になったことがある人、甲状腺髄様癌や多発性内分泌腫瘍症2型の家族がいる人では、安全性は確立していないと書かれています。日本肥満学会のステートメントは、米国ではこれらの人への投与が禁忌とされていることにも留意するのが望ましい、としています。

家族の病名がはっきりしないときは、「甲状腺の病気の家族がいるか」を、わかる範囲で医師に伝えてください。

年齢と、ほかの薬との組み合わせ

市販薬やサプリメントも含めて、飲んでいるものは受診のたびに伝えるのが確実です。ほかの医師にかかるときや、薬局で薬を買うときも、ゼップバウンドを使っていることを必ず伝えるよう、患者向けの資料は求めています。

受診のときに伝えるものの一覧

電子添文と患者向医薬品ガイドの項目から、編集部がまとめた一覧です。診察の前に書き出しておくと、言い忘れが減ります。

よく出る疑問

禁忌に当てはまらなければ、安全に使えますか?

そうとは言えません。禁忌は「使えない」とされる最低限の線で、そのほかにも、注意が必要な人や、重大な副作用が電子添文に書かれています。副作用は副作用と受診の目安にまとめています。

膵炎になったことがありますが、使えませんか?

電子添文は、膵炎にかかったことがある人を、特に注意が必要な人として挙げています(9.1.2)。使えるかどうかは、医師が全体を見て決めます。このサイトでは判断できません。

糖尿病がなければ、禁忌の2.2と2.3は関係ありませんか?

2.2は糖尿病性ケトアシドーシスなどの人と1型糖尿病の人、2.3は2型糖尿病がある人の場合を書いています。自分がどちらにも当たらないと思っても、血糖の検査の結果などを医師が見て判断するものです。

家族に甲状腺の病気の人がいます。伝えたほうがよいですか?

伝えてください。甲状腺髄様癌や多発性内分泌腫瘍症2型の家族がいる人では、安全性が確立していないと電子添文に書かれています。病名が正確にわからなくても、わかる範囲で構いません。

出典(編集部が原文を読んだ資料)
  1. ゼップバウンド皮下注アテオス 電子添文(2026年9月改訂 第6版)|PMDA(2026-11-02確認)
  2. ゼップバウンド皮下注アテオス 患者向医薬品ガイド(2026年5月更新)|PMDA(2026-11-02確認)
  3. 使用上の注意の改訂指示(医薬安発0730第1号 別紙1、2025年7月30日)|PMDA(2026-10-01確認)
  4. 肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント(2025年4月10日改訂)|日本肥満学会(2026-10-31確認)

このページは、電子添文や国のガイドラインなど公開された資料をまとめたものです。一人ひとりの体に合うかどうかは判断できません。始める・やめる・量を変えるときは、処方した医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関の紹介も、薬の販売もしていません。詳しくは免責事項をご覧ください。