ゼップバウンドと、妊娠・授乳・避妊
- 妊婦と、妊娠している可能性のある人には使いません(電子添文 9.5)。患者向けの資料も「使用することはできません」と書いています。
- 妊娠する可能性のある人は、使っている間と最後の注射から1か月間、避妊が必要です(9.4)。
- 飲む避妊薬は、特に使い始めと、量を上げた直後に、効果が弱まるおそれがあります(10.2)。
- 授乳中の人は、続けるかどうかを医師と考えます(9.6)。母乳に成分が移る例が報告されていますが、赤ちゃんへの影響は不明です。
妊娠している・妊娠の可能性があるとき
電子添文は、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないこと」と書いています(9.5)。
根拠として、妊娠したラットに薬を投与した試験の結果が載っています。人で使う最大の量のときよりも体にさらされる量が少ない量で、胎児に毒性(骨格の奇形、内臓の奇形など)が見られました。ただし、この所見は、母親のラットが食べる量と体重が低かったことをともなっていました。
| 比べたもの | 人の最大量に対する比 |
|---|---|
| 最高の血中濃度(Cmax) | 0.64倍 |
| 薬にさらされた量の合計(AUC) | 0.22倍 |
ラットでの結果が、そのまま人に起こるわけではありません。ここに書いたのは、電子添文が「使わない」とする理由として載せている動物の試験の内容です。
妊娠に気づいたときは、使えない薬なので、次の注射を待たずに処方した医師へ連絡します。それからの方針は医師が決めます。
避妊が必要な期間:最後の注射から1か月
電子添文は、妊娠する可能性のある女性に、本剤を使っている間と最後に注射した日から1か月間、避妊する必要性と適切な避妊法を説明するよう医師に求めています(9.4)。患者向医薬品ガイドにも、同じ内容が患者向けの言葉で書かれています。
「やめたらすぐ妊娠してよい」ではありません。1か月という期間の理由は、電子添文には書かれていません。参考として、電子添文には、この薬の血液中の濃度が半分になるまでの時間(半減期)が日本人の2型糖尿病の人で約5〜6日と記載されています。また、持続性の薬なので、中止後も効果が続く可能性があるとも書かれています(8.2)。この2つが避妊の期間とどう関係するかは、電子添文には書かれていません。
妊娠を考えている人は、使い始める前に、その予定を医師に伝えてください。日本の肥満症のガイドラインでは、「月経異常・女性不妊」が、肥満に関連する健康障害の1つに入っています。肥満症の診断の基準は肥満症と診断される基準にあります。
飲む避妊薬への影響
電子添文の併用注意の欄には、経口避妊薬について「特に投与開始初期又は漸増後初期では、併用する経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがある」という趣旨の記載があります(10.2)。この薬が胃の中の食べ物を送り出すのを遅らせる働きが関係していると説明されています。
健康な成人女性が、5mgを1回だけ打って調べた試験の結果です。「比」は、避妊薬だけのときに比べた、ゼップバウンドと一緒のときの値です。
| 避妊薬の成分 | 最高の血中濃度の比 | 血中の量の合計の比 | 最高濃度に達するまでの時間 |
|---|---|---|---|
| ノルエルゲストロミン(ノルゲスチメート0.25mgの活性代謝物) | 0.45 | 0.78 | 約4.5時間遅れた |
| エチニルエストラジオール(0.035mg) | 0.41 | 0.79 | 約4.2時間遅れた |
最高の血中濃度は、どちらの成分も、避妊薬だけのときの4〜5割にとどまりました。血中の量の合計は、約8割でした。
電子添文のこの欄にある文は、「効果を減弱させるおそれがある」までです。ほかの避妊法をいつまで足せばよいか、といった期間は、この欄には書かれていません。避妊薬を飲んでいる人は、避妊の方法を、処方した医師や薬剤師と必ず相談してください。
授乳中のとき
電子添文は、「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」と書いています(9.6)。患者向けの資料も、授乳している人は医師に相談するよう書いています。
| 授乳中の健康な女性の試験 | 結果 |
|---|---|
| 人数と量 | 11人に、5mgを1回だけ皮下に注射 |
| 母乳から成分が検出された人 | 3人 |
| 母乳中の濃度 | 1mLあたり4.6〜7.2ng(ナノグラム) |
電子添文は、母乳の中に移ることがあること、飲んだ赤ちゃんへの影響はわからないことを書いています。
相談のときに伝えること
- 妊娠している可能性があるか。妊娠の予定があるか
- いま使っている避妊の方法(飲む避妊薬かどうか)
- 授乳中かどうか
- 月経が不順で、そのことを治療しているか
妊娠や授乳の予定は、使う前に医師へ伝える人の一覧にも入っています。
よく出る疑問
注射をやめた翌月から、妊娠を考えてよいですか?
電子添文は、最後の注射から1か月間は避妊するよう求めています。それ以降の時期は、個人の事情によるので、処方した医師に相談してください。
飲む避妊薬を使っているときは、どうすればよいですか?
効果が弱まるおそれがあるのは、特に使い始めと、量を上げた直後です(10.2)。避妊の方法を変えるか、足すかは、処方した医師か薬剤師に相談して決めます。自分の判断で飲み方を変えないでください。
妊娠に気づかないまま打ってしまいました。どうすればよいですか?
妊娠の可能性がある人には使わない薬です。気づいた時点で、次の注射を待たずに、処方した医師へ連絡してください。この先どうするかは医師が決めます。
授乳中でも、続けられますか?
電子添文は、母乳栄養の有益性と、薬を続ける有益性の両方を考えて決めるとしています。母乳に成分が移る例はありますが、赤ちゃんへの影響はわかっていません。続けるかどうかは、医師と相談して決めます。
- ゼップバウンド皮下注アテオス 電子添文(2026年9月改訂 第6版)|PMDA(2026-11-02確認)
- ゼップバウンド皮下注アテオス 患者向医薬品ガイド(2026年5月更新)|PMDA(2026-11-02確認)
- 最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(ゼップバウンド皮下注)~肥満症~ 令和7年3月(令和8年5月改訂)|厚生労働省(2026-11-02確認)
このページは、電子添文や国のガイドラインなど公開された資料をまとめたものです。一人ひとりの体に合うかどうかは判断できません。始める・やめる・量を変えるときは、処方した医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関の紹介も、薬の販売もしていません。詳しくは免責事項をご覧ください。