ゼップバウンドの副作用と、受診の目安

ゼップバウンド.com編集部|内容の確認日 2026年10月31日

要点
  • 電子添文で「5%以上」の区分に入っているのは、おなかの症状(吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛・消化不良・食欲の低下)と、注射した所の反応です。
  • 日本人の試験では、15mgの群の63.6%に何らかの副作用が出ました。偽薬の群は10.7%でした。
  • 吐き気とともに激しい腹痛が続く、便もおならも出ずにおなかが張る、白目や皮膚が黄色い、息苦しく顔が腫れる。こうしたときは、次の注射の日を待たずに受診します。
  • 全身麻酔や深い鎮静を受ける予定があれば、使っていることを前もって医師に伝えます。
  • 食事や糖質を極端に減らしながら使うことは、日本肥満学会(2026年10月3日)が絶対に避けるよう求めています。吐き気や嘔吐が続き、食事も水分もとれないときは、副作用と決めつけずに受診します。

電子添文の頻度の区分

電子添文の「その他の副作用」を、区分ごとに並べました。かっこの中は、専門用語の言い換えです。

頻度の区分おなかの症状おなか以外
5%以上悪心(吐き気)、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退注射部位反応(注射した所の紅斑・かゆみ・痛み・腫れなど)
1〜5%未満腹部膨満(おなかの張り)、胃食道逆流性疾患(胃酸が上がってくる)、おくび(げっぷ)、鼓腸(おなかにガスがたまる)疲労、浮動性めまい(ふわふわするめまい)、脱毛症
1%未満胆石症心拍数の増加、低血圧・血圧の低下、糖尿病網膜症、過敏症(湿疹・発疹など)、味覚不全(味が分かりにくい)、異常感覚、膵アミラーゼ・リパーゼの増加(血液検査の値)、体重減少

同じ成分の2型糖尿病の薬とは、区分が違う所があります。ゼップバウンドでは、注射した所の反応が「5%以上」、鼓腸が「1〜5%未満」の区分です。

脱毛症は「1〜5%未満」の区分に載っています。急に体重が減ったせいか、薬そのもののせいかは、電子添文には書かれていません。

表にない症状でも、気になることは処方した医師か薬剤師に伝えてください。

重大な副作用と、気づくための症状

電子添文で「重大な副作用」とされているものです。自覚症状は、患者向けの資料の表を言い換えました。

重大な副作用(頻度)気づくきっかけになる症状
低血糖(頻度不明)おなかがすく、冷や汗、血の気が引く、疲れやすい、手足のふるえ、けいれん、意識がぼんやりする
急性膵炎(0.1%未満)吐き気や嘔吐、みぞおちの強い痛み、背中の痛み、おなかのあざ、おなかの張り、発熱
胆嚢炎(頻度不明)・胆管炎(0.1%未満)・胆汁うっ滞性黄疸(頻度不明)発熱や寒気、右上のおなかの痛み、白目や皮膚が黄色くなる、尿の色が濃くなる、体がかゆい
アナフィラキシー・血管性浮腫(頻度不明)全身のかゆみやじんましん、のどのかゆみ、動悸、息苦しさ、唇・まぶた・舌・顔・首が急に腫れる、声が出にくい
イレウス=腸の動きが止まる・ふさがる状態(頻度不明)便やおならが出にくい、吐き気、嘔吐、おなかの張り、腹痛

イレウスは、2025年7月30日に国が出した改訂の指示で、セマグルチドやチルゼパチドなどの薬に「重大な副作用」として加わりました。

同じ指示で、おなかの手術を受けたことがある人と、イレウスになったことがある人が、注意の必要な人に加わっています。

膵炎と診断された場合、ゼップバウンドはもう一度使いません。

低血糖について

日本肥満学会は、この薬を単独で使う場合、低血糖のリスクは少ないとしています。

インスリン、SU薬(スルホニル尿素薬)、グリニド薬と一緒に使うと、低血糖が起きやすくなります。

低血糖の症状が出たら、糖分を含む食べ物や砂糖をとります。α-グルコシダーゼ阻害薬を飲んでいる人は、ブドウ糖をとります。

高い所での作業や車の運転をする人は、特に気をつけます。

日本人の試験(SURMOUNT-J)で出た割合

対象は、糖尿病のない日本人の肥満症の人です。食事と運動の指導を受けながら、72週間使いました。数字は電子添文と最適使用推進ガイドラインから写しています。

項目10mgの群15mgの群偽薬の群
何らかの副作用が出た割合56.2%(73人中41人)63.6%(77人中49人)10.7%(75人中8人)
血糖値が54mg/dL未満の低血糖5.5%9.1%1.3%
有害事象で薬をやめた人7人8人5人

主な副作用は、10mgの群で悪心13.7%・便秘13.7%・食欲減退12.3%、15mgの群で便秘23.4%・悪心22.1%でした。

重い低血糖はありませんでした。亡くなった人もいませんでした。

この試験の解析は225人で行われています。ルールに違反していた治験の支援会社が関わった施設の42人は、解析から外されました。

メーカーの資材によると、胃腸の副作用は、量を上げていく時期にいちばん多く出ます。

おなかの症状が出たときの工夫

医療者向けの資材に、対処の例として次のものが挙がっています。

症状が強いとき、量を下げるか、上げる時期を延ばすかは医師が決めます。

下痢や嘔吐が続くと、脱水から急性腎障害(腎臓の働きが急に落ちること)になるおそれがあります。水分を適度にとり、続くときは医師に相談します。

のどの渇き、立ちくらみ、体に力が入らない、手足がつる、といった症状は、脱水のサインの例です。

食事を極端に減らしているとき:ケトーシスの注意喚起(2026年10月)

2026年10月3日、日本肥満学会が「安全な減量に関するステートメント」を公表しました。GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬(ゼップバウンドを含む)を使った減量で、ケトーシスやケトアシドーシスを起こし、救急搬送や入院に至った例が国内外で報告されている、という内容です。

ケトーシスとは、極端な食事制限や炭水化物の不足で体の脂肪の分解が進み、「ケトン体」という酸性の物質が血液の中に増えすぎた状態です。さらに進んで血液が酸性に傾いた重い状態を、ケトアシドーシスと呼びます。治療が遅れると命にかかわることがあります。

学会が挙げる、ケトーシスの兆候

兆候気をつけること
いつもと違う、甘酸っぱい口臭体の中でケトン体が増えている可能性があります
むかつき、吐き気、嘔吐、腹痛薬の副作用としても出ますが、ケトーシスの代表的な症状でもあります。副作用だけと決めつけません
食事も水分もとれない食欲が落ちる薬でも、水が飲めないほどなら、ケトーシスが原因の可能性があります
強い全身のだるさ「食べていないから元気が出ないだけ」と思いこみません
意識がぼんやりする、強い眠気、呼吸が速く深い、息苦しい重い状態に進んでいるおそれがあります。救急車を呼ぶことも含めて、すぐに受診します

学会の文書(減量目的で使う人向けの別紙)は、これらの症状が出たときは、薬の使用と食事の制限をただちにやめて、すみやかに医療機関の受診を検討するよう書いています。病気の治療として処方を受けている人は、薬を自分の判断でやめる前に、まず処方した医師か医療機関に、症状を伝えて指示を受けてください。

リスクを高めるものとして、学会は、過度なアルコールの摂取と、SGLT2阻害薬(尿に糖を出す2型糖尿病などの薬)との併用を挙げています。ほかの病気で飲んでいる薬がある人は、必ず処方した医師に伝えます。

手術・ほかの薬・妊娠のときに気をつけること

全身麻酔や深い鎮静を受けるとき

手術の前の絶食を守っていたのに、全身麻酔や深い鎮静の最中に誤嚥が起きた例が報告されています。誤嚥とは、胃の中身が気管に入ってしまうことです。

電子添文は、ゼップバウンドが胃の中身を送り出すのを遅らせるため、胃に中身が残りやすくなるおそれがあると説明しています。

手術や、鎮静剤を使う検査の予定があれば、ゼップバウンドを使っていることを前もって担当の医師に伝えます。何日前にやめるかといった日数は、電子添文には書かれていません。

一緒に使う薬

ほかの病院にかかるときや、薬局で薬を買うときは、ゼップバウンドを使っていることを必ず伝えます。

妊娠・授乳

妊娠中か、妊娠しているかもしれない人には使いません。ラットの試験で、胎児への毒性が見られています。

妊娠する可能性のある人は、使っている間と、最後の注射から1か月間は避妊します。

授乳中の人は、続けるかどうかを医師と相談します。授乳中の健康な女性11人に5mgを1回打った試験では、3人の母乳から薬の成分が見つかりました。

すぐに受診するサイン

次の注射の日を待たずに、医療機関へ
こんなとき考えられるもの動き方
嘔吐をともなう激しい腹痛が続く急性膵炎注射を中止して、すぐに医師の診察を受けます
便もおならも出にくく、おなかが張って痛む・吐くイレウスすぐに受診します
熱や寒気と右上の腹痛がある。白目や皮膚が黄色い胆嚢炎・胆管炎・黄疸すぐに受診します
息苦しい。全身にじんましんが出る。唇やのどが急に腫れるアナフィラキシー・血管性浮腫ただちに受診します
冷や汗、手のふるえ、動悸、意識がぼんやりする低血糖糖分をとり、医師に連絡します
こんなとき動き方
下痢や嘔吐が続いて、水分がとれない脱水から腎臓に負担がかかるおそれがあります。早めに医師に相談します
視力が落ちた、見える範囲が狭くなったすぐに医師に伝えます。因果関係ははっきりしないものの、目の神経の病気(NAION)が増える可能性を示す研究も報告されています
首を触ると硬いしこりがある処方した医師に相談し、専門医にかかるかの指示を受けます
脱力感、めまい、ふらつき血圧が下がっていることがあります。医師か薬剤師に相談します
吐き気が軽い、食欲が少し落ちた量は自分で変えず、次の受診で伝えます。つらいときは早めに連絡します

よく出る疑問

吐き気は、ずっと続くのですか?

メーカーの資材によると、胃腸の副作用は量を上げていく時期にいちばん多く出ます。どのくらい続くかは人によって違います。つらいときは、量を下げるか上げる時期を延ばすかを医師と相談してください。

副作用が出たら、自分で量を減らしてもいいですか?

いいえ。患者向けの資料は、自分の判断でやめたり量を加減したりせず、医師の指示に従うよう書いています。

やめた後も、副作用に気をつける必要はありますか?

あります。ゼップバウンドは週1回の持続性の薬で、やめた後も作用が続くと患者向けの資料に書かれています。副作用や血糖値の変化に気をつけてください。

重い副作用が出たとき、公的な救済制度はありますか?

医薬品副作用被害救済制度があります。対象になるかは「適正な使用」だったかどうかで、個別に判断されます。美容や痩身の目的で使った場合は、厚生労働省が「救済給付を受けられない可能性が非常に高い」としています。個人輸入した薬は、救済の対象になりません(個人輸入・海外通販の危険)。

出典(編集部が原文を読んだ資料)
  1. ゼップバウンド皮下注アテオス 電子添文(2026年9月改訂 第6版)|PMDA(2026-10-31確認)
  2. ゼップバウンド皮下注アテオス 患者向医薬品ガイド(2026年5月更新)|PMDA(2026-10-01確認)
  3. 最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(ゼップバウンド皮下注)~肥満症~ 令和7年3月(令和8年5月改訂)|厚生労働省(2026-10-31確認)
  4. ゼップバウンド皮下注アテオスに関する適正使用のお願い(RMP資材)|PMDA(2026-10-01確認)
  5. 使用上の注意の改訂指示(医薬安発0730第1号 別紙1、2025年7月30日)|PMDA(2026-10-01確認)
  6. 肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント(2025年4月10日改訂)|日本肥満学会(2026-10-31確認)
  7. 安全な減量に関するステートメント―インクレチン関連薬を用いた減量によるケトーシス関連事象の注意喚起―(2026年10月3日)|日本肥満学会(2026-10-31確認)
  8. 「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について」の再周知について(2026年10月14日)|厚生労働省(2026-10-31確認)
  9. Kadowaki T, et al. SURMOUNT-J. Lancet Diabetes Endocrinol. 2025;13(5):384-396|PubMed(抄録)
  10. 医薬品副作用被害救済制度に関するQ&A(Q2「適正な使用」とは)|PMDA(2026-10-01確認)
  11. マンジャロ・リベルサスなどの2型糖尿病治療薬の美容・痩身目的での使用による健康被害にご注意ください|厚生労働省(2026-10-31確認)
  12. 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ|厚生労働省(2026-10-01確認)

このページは、電子添文や国のガイドラインなど公開された資料をまとめたものです。一人ひとりの体に合うかどうかは判断できません。始める・やめる・量を変えるときは、処方した医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関の紹介も、薬の販売もしていません。詳しくは免責事項をご覧ください。