ゼップバウンドを使う間の食事と運動
- 電子添文は、使っている間も食事療法・運動療法を続けることを求めています(8.1)。薬だけで済ませる使い方ではありません。
- 日本人の試験(SURMOUNT-J)では、72週のあいだに10回のカウンセリングがあり、来院の前の3日間の食事と体の動きを日誌に書くことが勧められました。
- 栄養のバランスは、エネルギーの約50〜60%を炭水化物、約15〜20%をタンパク質、約20〜25%を脂質からとる、という目安でした。運動は1週間に150分以上が勧められました。
- これは試験で決められた条件です。あなたの食事量や運動量の目標ではありません。決めるのは、医師と管理栄養士です。
- 食事や糖質を極端に減らすことは、日本肥満学会(2026年10月3日)が、絶対に避けるよう求めています。
電子添文と患者向けの資料は、何と書いているか
電子添文の「重要な基本的注意」は、「本剤投与中は食事療法・運動療法を継続すること」と書いています(8.1)。患者向医薬品ガイドにも、同じ内容が「この薬の使用中は食事療法・運動療法を継続してください」と載っています。
この薬の効能の前提にも、食事療法・運動療法があります。肥満症では、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない人が、薬物治療の対象になります(5.1)。
保険で使う場合の、食事と運動の治療の条件(6か月以上、管理栄養士の指導など)は保険で使える人の条件にまとめています。
日本人の試験では、どんな指導が行われたか
厚生労働省の最適使用推進ガイドライン(令和8年5月改訂)が、承認のときに評価された日本人の試験(I8F-JE-GPHZ試験、SURMOUNT-J)の中身を載せています。対象は、糖尿病のない日本人の肥満症の人です。下の表は、その試験での食事と運動の指導をまとめたものです。
| 項目 | 試験で決められていたこと |
|---|---|
| カウンセリングの時期 | 0・4・8・12・24・36・48・52・60・72週の10回 |
| 日誌 | 各カウンセリングの来院前3日間の、食事の内容と体の動きの内容を書くことが勧められた |
| 食事の栄養のバランス | 炭水化物は、エネルギーの約50〜60%。タンパク質は約15〜20%。脂質は約20〜25% |
| 1日のエネルギーの上限の目安 | BMI27以上の人は、最大で 25 kcal ×標準体重(BMI22として計算)。BMI35以上の人は、最大で 20〜25 kcal ×標準体重 |
| 運動 | 1週間に150分以上の運動が勧められた |
カウンセリングは、日本肥満学会(JASSO)のガイドラインに基づいて行われました。
この表の数字は、試験に参加した人の条件です。年齢、体格、持病、飲んでいる薬の違う人に、そのまま当てはまるとは限りません。自分の1日の食事量を決めるときは、処方した医師と管理栄養士に相談してください。
記録のつけ方の例
試験で書くことが勧められたのは、食事と体の動きの日誌でした。保険で使うときも、ガイドラインは、本人がつけた食事と運動の記録などを医療機関が確かめて、管理の記録に残すことを求めています。
何を書くかの決まった書式は、ガイドラインにはありません。ここでは、編集部が、原文で求められている内容から組み立てた記録の例を載せます。
| 記録するもの | 書き方の例 | なぜ書くか |
|---|---|---|
| 食事 | 食べたものと、だいたいの量。回数。残したとき、おなかがいっぱいで食べられなかったときはその旨 | 試験の日誌の中身。栄養士が、バランスと量を確かめる材料になる |
| 体の動き | 歩いた時間、運動した時間。つらくて動けなかった日はその旨 | 試験の日誌の中身。週150分という目安との比較のため |
| 体重 | 決めた曜日・時間の測定値 | ガイドラインは、体重を毎月確認するよう医療機関に求めている |
| 注射の日と、体調 | 注射した日、場所。吐き気、便通、食欲、めまいなど | 量を上げる時期は、胃腸の症状が最も出やすいとメーカーの資材が書いている |
血糖・血圧・脂質などは、医療機関で測るものです。ガイドラインは、使い始めてから毎月確認し、3〜4か月で良くなる傾向がなければ中止するとしています。この流れは保険の条件のページにあります。
おなかの症状が出ているときの食べ方
量を上げる時期は、胃腸の副作用が最も出やすい時期です。メーカーの医療者向け資材は、対処の例として、次のことを挙げています。
- 1回に食べる量を減らす。1日3回の食事を4回以上に分ける、などです。
- 満腹を感じたら食べるのをやめる。
- 揚げ物など、脂肪の多い食べ物を避ける。
下痢や嘔吐が続くと、脱水から急性腎障害になるおそれがあります。患者向けの資料は、適度に水分をとり、症状が続くときは医師に相談するよう書いています。量を下げるか、上げる時期を延ばすかは、医師が決めます。症状全体は副作用と受診の目安にあります。
食事や糖質を極端に減らさない
2026年10月3日、日本肥満学会は「安全な減量に関するステートメント」で、GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬を使った減量の場面で、ケトーシスやケトアシドーシスが起き、救急搬送や入院に至った例が国内外で報告されていると注意喚起しました。
減量の目的で使う人向けの別紙は、過度な食事制限や糖質制限をしながらこれらの薬を使うことは「絶対に避けてください」と書いています。食欲が落ちる薬だからといって、食べる量を自分でさらに減らすことは、この注意に反します。
吐き気やだるさが強い、甘酸っぱい口臭がする、食事も水分もとれない、といったときの動き方は、副作用のページのケトーシスの節に表にしてあります。
よく出る疑問
1日に何kcalに抑えればよいですか?
このサイトでは決められません。試験では、体格に応じて「25 kcal ×標準体重」を上限の目安にしていましたが、これは試験の条件です。自分の量は、医師と管理栄養士が、体の状態や活動量を見て決めます。
運動は、どのくらいすればよいですか?
試験では、1週間に150分以上の運動が勧められました。始めたばかりの体力や、膝・心臓など持病の有無で、できる運動は人によって違います。運動の種類や量は、医師に相談してから決めてください。
糖質を減らしたほうが、よく痩せますか?
日本肥満学会は、過度な食事制限や糖質制限をしながら、この種の薬を使うことを、絶対に避けるよう求めています。試験でも、糖質(炭水化物)は、エネルギーの約50〜60%をとる目安でした。
お酒を飲んでもよいですか?
電子添文は、「過度のアルコール摂取」を、低血糖のおそれがある状態の1つに挙げています。飲んでよい量は書かれていません。低血糖のページに、原文の言い方をまとめました。
- 最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(ゼップバウンド皮下注)~肥満症~ 令和7年3月(令和8年5月改訂)|厚生労働省(2026-11-02確認)
- ゼップバウンド皮下注アテオス 電子添文(2026年9月改訂 第6版)|PMDA(2026-11-02確認)
- ゼップバウンド皮下注アテオス 患者向医薬品ガイド(2026年5月更新)|PMDA(2026-11-02確認)
- ゼップバウンド皮下注アテオスに関する適正使用のお願い(RMP資材)|PMDA(2026-10-01確認)
- 安全な減量に関するステートメント―インクレチン関連薬を用いた減量によるケトーシス関連事象の注意喚起―(2026年10月3日)|日本肥満学会(2026-10-31確認)
- 肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント(2025年4月10日改訂)|日本肥満学会(2026-10-31確認)
- Kadowaki T, et al. SURMOUNT-J. Lancet Diabetes Endocrinol. 2025;13(5):384-396|PubMed(抄録)
このページは、電子添文や国のガイドラインなど公開された資料をまとめたものです。一人ひとりの体に合うかどうかは判断できません。始める・やめる・量を変えるときは、処方した医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関の紹介も、薬の販売もしていません。詳しくは免責事項をご覧ください。